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給付の適正化とモニタリング
定期的な「モニタリング」の実施が福祉用具の事故を防止する
介護給付適正化における「福祉用具購入に係る調査」の効果的な方法
参考/介護給付適正化事業の概要

定期的な「モニタリング」に実施が福祉用具の事故を防止する 〜高齢者が福祉用具を安全に 安心してご利用いただくために〜

福祉用具の事故防止には、福祉用具専門相談員による適切なモニタリングの実施が不可欠です。

福祉用具は、加齢に伴い心身機能の低下した高齢者の自立を支え、介護する方の負担を軽減します。そして、介護保険では、心身状態や環境の変化に応じて、その方に最適な福祉用具が提供されるよう、レンタルを原則的な給付方式としています。

福祉用具の良さ

○高齢者の自立を支援
福祉用具の利用は、高齢者ができる限り自分の力で日常生活を営むことに役立ち、介護保険の理念である高齢者の尊厳の保持並びに自立の支援につながります。
○生活の質(QOL)の向上
福祉用具の利用は、高齢者が地域社会で活動することを容易にし、住み慣れた街で自分らしい生活を送ることに役立ちます。
○介護者の負担軽減
介護の長期化、介護者の高齢化など、家族介護の問題が深刻化する中、福祉用具の利用は介護の省力化に役立ち、家族の介護負担の軽減につながります。
○身体機能の維持・向上
福祉用具の様々な機能は、心身の状態や生活環境に合わせた選定・適合などを行うことにより、高齢者の身体機能の維持・向上に役立ちます。

レンタル制度の良さ

○利用者の選択を保障した選定支援
多種多様な福祉用具の中から、ご利用者のニーズや状況に応じた選定が可能です。福祉用具専門相談員の適切な助言により、選択の幅も広がります。
○心身状態や環境の変化に応じた機種変更
心身状態や介護環境の変化に合わせ、福祉用具の機種を変更することができます。実際に使用してみて合わなければ、交換・返却も可能です。
○訪問による故障対応、事故防止
故障に対応し、修理が長期にわたる場合には交換も可能です。また、訪問による定期的な福祉用具のモニタリングや他職種との連携により、事故を未然に防ぎます。
○リサイクルによる資源の有効活用
不要になってもレンタルなら買い替える必要がなく、廃棄物排出の抑制や、資源の有効活用につながります。レンタルはエコにも配慮した制度です。
福祉用具は、高齢者の自立支援及び介護負担の軽減に役立ちます。しかし、使い方が正しくなかったり、身体状況に合わない福祉用具を使う、又はメンテナンスを怠ったりすると、事故が発生してしまうケースがあります。それを防ぐために、福祉用具専門相談員は普段から導入時に利用計画を立て、それに基づく定期の「モニタリング(訪問確認)」を行っていく必要があります。使用状況の確認や、心身状態・生活環境に変化がないか、福祉用具に異常がないかなど確認・点検を行っていくことで、事故の可能性に気づき、未然の防止につなげていくことができるでしょう。

例えばこんな事故では。

座位が保てずバランスを崩して倒れた際、 2本のサイド レールの隙間に首を挟み込んだ
適切なモニタリングをしていれば?? 定期的なモニタリングにより、身体機能が低下し座位保持が困難になっていることに気付いていれば、ご家族への注意喚起や、上半身の体位保持のためのポジショニングクッションの導入提案などができたかもしれません。また、メーカー提供の挟み込み防止の安全対策部品を、取り付けるよう注意を促せたかもしれません。
電動車いすで走行中、操作を誤り、道路下の用水路に転落した
適切なモニタリングをしていれば?? 導入時の説明だけでは正しい使用方法をご理解いただけないこともあります。また、認知症などにより、これまで使用していたものが使えなくなることもあります。適切にモニタリングを行っていれば、誤使用に気付き、使用方法の再説明もできたでしょう。また、やむを得ない場合は、ケアマネジャーと相談の上、電動車いすの解約の提案もできたかもしれません。
車いすの空気圧が不足していたため、ブレーキが かからず、転倒した
適切なモニタリングをしていれば?? モニタリングでは、ご利用者の状況変化の確認だけでなく、福祉用具の点検もまた、事故予防につながる大切な要素となります。長期の使用では、メンテナンスが必要です。モニタリングの際、空気圧を調整していれば事故は防げたかもしれません。また、普段からご利用者・ご家族と関わることで、利用時の違和感などもご相談いただけたかもしれません。
事故情報についてはこちらのホームページもご参照ください。
http://www.jaspa.gr.jp/accident/index.html
日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)の事故情報ページです。消費生活用製品安全法及び消費者安全法などの規定に基づき消費者庁に報告された重大事故のうち、福祉用具関連のみが抜粋・掲載されています。

適切なモニタリングの実施には「福祉用具個別援助計画書」「モニタリングシート」が必要です。

福祉用具個別援助計画書とモニタリングシート
「福祉用具個別援助計画書」は、アセスメントによる課題分析の上、福祉用具としての利用目標を設定し、これを実現するための計画書。ケアプランの援助目標に基くものです。また「モニタリングシート」は、実際のサービス提供後、この利用目標が達成されているか、利用状況の確認を行なうためのシートです。達成されていない場合、再アセスメントを行い、計画の見直し、適切なサービスの提供につなげます。現在、法律で作成の義務はありませんが、サービスの質の向上のため、一部の関係者が作成しています。適切なサービスの提供環境の整備のためにも、保険者やケアマネジャーなど関係者の協力が必要といえます。
モニタリングシートと事故防止
福祉用具による事故防止には、定期のモニタリングを適切に実施する必要があります。一方、福祉用具専門相談員には、経験年数の違いなどにより、潜在化する事故のリスクを発見する能力にも格差があります。福祉用具個別援助計画書に基いて作成する「モニタリングシート」は、これらの能力差を縮め、標準化する機能もあります。「モニタリングシート」を使って、適切なモニタリングを行うことが、事故防止に役立つといえるでしょう。

モニタリングの実施で安全に役立った数多くの事例があります。介護給付適正化事業などへの活用事例も増えています。

一般の商品、例えば電化製品であれば、メーカーや販売店は、ユーザーの要請に応えて点検や修理を行います。しかし、福祉用具の利用者は一般の消費者とは異なり、心身の機能が低下し、一部には判断力が著しく低下した方もいるなど、特別な支援を要する消費者です。従って、福祉用具専門相談員は、利用者の要請を待つだけではなく、積極的に利用者と関わりをもち、安全を確保していかなければなりません。定期のモニタリングが必要なのは、このためでもあります。本会には、モニタリングシートを使った関係者から事故防止に役立ったという意見が多数寄せられています。また、保険者が介護給付適正化事業に活用する事例など、様々な利用方法も出てきました。本会では、今後とも普及・啓発に努め、少しでも事故の防止に役立ち、もって高齢者の福祉の増進に貢献していきたいと考えています。

「モニタリングの効果」

福祉用具専門相談員が、訪問時のモニタリングを行ったことにより、実際に事故を未然に防ぐことができた事例があります。また、事故ばかりでなく、心身状態の維持・向上にも効果を発揮しています。
  • ●車いすを導入したが、数ヶ月後モニタリングを行ったところ、導入時の設定では座位保持が困難になっていた。状態の変化に合わせた再設定により座位が安定し、二次障害を防ぐとともに、快適に使用することができるようになった。
  • ●停電により、エアマットの空気圧の設定がリセットされた状態になっていたが、訪問時のモニタリングにより誤りに気づき、床ずれの発生を未然に防ぐことができた。
  • ●ベッドから車いすへの据え置き型リフトを利用していたが、訪問しモニタリングしたところ、スリングシートが破れていることに気がついた。再購入を提案し、落下を未然に防ぐことができた。
  • ●スライディングボードを利用し、2モーターベッド(背上げ、高さ調整機能)から車いすへの移乗を行っていたが、モニタリングしたところ、身体状況が向上し、スライディングボードを使わずに移乗ができるようになっていた。スライディングボードを解約、ベッドを1モーター(背上げ機能)に変更することで、自立につながった。
市町村(保険者)は、現在、介護給付の適正化事業に取り組んでいます。モニタリングシートの書式や、これを使ったモニタリング作業は、サービスの質の確保を目的に、保険者が行う介護給付適正化事業に活用されている例もあります。

東京都・世田谷区の事例(福祉用具専門相談員のモニタリング能力を活用)

世田谷区では、介護給付適正化事業の一環として、平成21年度には「住宅改修に係る利用者宅訪問調査」、平成22年度には「福祉用具購入に係る利用者宅訪問調査」を実施。前者は福祉住環境コーディネーターの建築士等で構成する地域団体に委託。一方、後者は全国福祉用具専門相談員協会に委託し、同会東京ブロック会員の「福祉用具専門相談員」を調査員として、年間50件の調査を実施しています。調査では、区の担当者、ケアマネジャー、福祉用具販売事業者とともに、調査員が利用者宅を訪問し、利用状況を調査・確認した上、区担当者が行う助言・指摘等の技術的な補助を行っています。訪問調査シートは、同会が開発した「ふくせんモニタリングシート」をベースとした独自の仕様。なお、調査員は一定の要件に該当し、かつ同会が行う「訪問調査員研修」を受講するなど、調査員の質も確保している。

神奈川県・茅ヶ崎市の事例(「ふくせんモニタリングシート」の書式を活用)

茅ヶ崎市では、平成22年度の介護給付適正化事業の一環として、同市の被保険者に特定福祉用具を販売した事業所の中から6事業所を選定し、モニタリングの実施と、その結果を報告するよう求めています。提出期間は通知を発出した日から約3ヶ月以内。モニタリングの対象となるのは、当該事業所のご利用者のうち特定福祉用具を販売した30人。報告にあたっては「ふくせんモニタリングシート」(全国福祉用具専門相談員協会が開発)を使い、原本を事業所に保管し、写しを同市に提出。なお、モニタリングの実施にあたっては、同市が作成した協力依頼文を渡して、ご利用者の同意を得たうえで行っている。

福祉用具専門相談員協会とは

福祉用具専門相談員とは、福祉用具関連のサービスを適切に提供していく専門職として、介護保険制度の中で位置づけられたものです。福祉用具を必要とする高齢者などに対し、選定相談、適合、取扱説明、使用状況の確認(モニタリング)などを行う、いわば福祉用具のプロといえます。高齢者の日常生活における自立を支援し、その人の「できる」可能性を広げる、それが福祉用具であり、それを最大限に活かすお手伝いをするのが福祉用具専門相談員です。

福祉用具相談員の役割

選定相談
豊富な商品知識の中から、利用者の希望、心身の状態、介助者の状況、ケアプランの方向性、住環境など、様々な要素を踏まえ、その人の生活に最適な福祉用具の選定を支援します。また、機能ばかりに目を向けるのではなく、利用者が一番望む生活の実現をお手伝いすることが福祉用具専門相談員の役割です。
適合・取扱説明
選定した福祉用具を導入し、取り付けから、利用者一人一人に合わせた調整までを行います。さらに、利用者及び介助者に対し使用方法をわかりやすく説明し、効果が最大限に発揮されるよう助言したり、事故が起きないよう環境改善したりすることも、福祉用具専門相談員の大切な役割です。
モニタリング(訪問確認)
福祉用具の点検、修理などに加え、利用目標が達成できているか、不具合は生じていないか、心身の状態や使用環境に変化は生じていないかなどを確認し、必要に応じてケアマネジャーに報告します。事故の防止にもつながる重要な役割です。
ケアマネジャーなどの連携
モニタリングにより見つかった不具合や、利用者・家族からの要望、利用状況の変化などを、ケアマネジャーへ報告します。福祉用具の再検討が必要な際には、サービス担当者会議に出席し、見直しの検討にも参加します。様々な専門職と情報を共有し連携を図るのも、福祉用具専門相談員の大切な役割です。
 
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