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ふくせん特別セミナー H.C.R. 出展者ワークショップ 福祉用具貸与事業者の選び方 〜消費者の視点から〜
利用者本位の観点から、介護サービス事業者を決定するのは利用者である。その判断材料といえば、何といっても情報。2006年度に施行された「介護サービス情報の公表制度」は、はたして現在の市場ニーズに応えられているだろうか。
利用者=高齢者であることを考えると、必要な情報をいかにわかりやすく提供するかは、介護保険におけるサービスの適切な提供、そして利用のためにも、最も大切なことではないだろうか。
「介護情報の読み解き」による利用者のための情報提供の第一人者、木間昭子先生に選択する際のポイントや情報公表の課題についてご講演いただいた。

講師の講演資料はこちら
木間昭子(このま・あきこ)先生
NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事(元独立行政法人国民生活センター調査室長)厚生労働省社会保障審議会の委員、介護保険部会委員、介護給付費分科会委員、東京都福祉サービス評価推進機構認証公表委員会の委員を務める。
世田谷区において、区民にわかりやすい介護情報の発信として、「介護情報の読み解き」を行っている。
 
大切なのは消費者の視点

「介護保険制度の利用は、利用者と事業者との契約でなりたっています。対等な立場で契約するためには、情報が必要。十分な情報が得られていないという点で、消費者が非常に不利な立場にあるわけです。」

10年以上母親の介護をした経験をもつ木間先生。その経験から実感したという。通常、消費者としての選択眼は、商品を選んだ経験や知識が積み重なって養われるもの。しかし、こと介護サービスに関しては、それまで買ったことがないもの、体験したことがないもの
である。この事実が大部分の消費者にとって「わからない」状態を生む。そして、介護サービスにおいては、消費者=高齢者なので、なおさら消費者の視点から、消費者にとってわ
かりやすい情報が必要なのである。

 
介護サービス情報の公表

契約をする際の判断材料という観点でみると“情報の公表”がいかに大きな意味をもつのかがわかる。木間先生いわく、

「介護サービスの情報公表は、事業者が好意で行うわけでも、サービスで行うわけでもありません。事業者に課せられている義務なのです。事業者の方々には、そのことをはっきり申し上げたいと思います。」

公表されている情報は、おおまかに次の通り。
●誰が…基本情報 実績等
●いつ…基本情報 営業時間等
●いくらで…基本情報 介護給付サービス費用、介護給付以外のサービス費用等
●どのような…基本情報 スタッフ情報(人数、経験など)等
●どのように…調査情報 相談、アフターフォローの体制等
●利用者の意見を把握する取り組みの有無、開示しているかどうか
●第三者機関による評価の有無、開示しているかどうか

このうちの調査情報(調査員が訪問して確認する情報)では、次の4項目が重要である。
○用具の選定前に利用者(消費者)と面談しているか
○相談・苦情対応の結果を利用者に説明しているか
○搬入日から10日以内に、使用状況を確認しているか
○6か月に1回以上訪問し、使用状況を把握しているか

この4項目すべてをクリアしている事業者であれば、福祉用具をレンタル(あるいは購入)した後で、身体に合わないとか、操作方法がわからない、などといった不安や不満を抱えることはないはずである。

相談員の人数などの基本情報と合わせれば、自分が契約したい事業所かどうか、読み取ることができる。契約する際は、自分が必要な対応を十分にしてくれる事業所を選べばいいのである。しかし、ここには大きな問題がある。現在公表されている情報は、「介護サービスについての知識をもたない高齢者にわかれというにはあまりに酷な情報」(木間先生)なのだ。

 

「よく“読み解きしなければならない表示が悪い”という意見も耳にしますが、表示とは、たとえ万人にわからなくても書いておかねばならないものなのです」と木間先生は言う。しかし、利用しやすいか、ということを考えるとまた別の話だ。介護サービス情報公表システムでは、印刷すると、事業所1件あたり何ページにもわたってしまう。利用者やその家族に、それを見て何件もの事業所を比較検討しましょうといってもそれは無理な話だ。

平成21年10月現在、東京都介護サービス情報公表システムでは、福祉用具貸与事業者の情報をプリントした場合、1件あたりA4で10ページ前後となる。世田谷区介護サービス情報ガイドでは、(平成19年度の情報ではあるが)情報を15項目に整理し、比較表形式でA4・1ページにつき2〜3事業者を掲載。29事業者を10ページにまとめて掲載している。
木間先生は、東京都世田谷区の委員を務めていることから、区の職員の助力を得て比較表形式での情報閲覧を可能にした。その比較表だとA4の用紙1枚で数件の情報を見比べられる。すべての地域でこのような情報提供ができれば、利用者にとって、非常に有用なデータベースになるだろう。しかし、これは完成形ではないというのが木間先生の主張だ。「各専門職の意見を取り入れながら、より良い形に進化、かつ広めていきたいと思います。」

また、事業者に対しては、期待を込めてこう語った。

「この情報公表の結果を、ぜひ業務の質の向上につなげていただきたい。多様化してきたケアの品質を簡単な形で比較し、公表することは、提供者側のサービスの質を向上させます。そしてそれは、利用者側には質の良いサービスを受けられるというメリットをもたらすのです。」

編集協力:(株)東京コア

 
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