
開会挨拶に立つ山下一平会長。なお、この後の設立総会で、一般社団法人の理事長に就任した

総会に先立って開催した理事会で、理事長には元会長である山下氏(写真左)を副理事長には元副会長の畔上氏(写真左)が互選された
「記念すべき福祉用具の日にこの設立総会を開催できることは非常によろこばしいことです」とは山下一平会長。会員数ではまだ十分とは言えないが、今後の活動を通じて成長していく、また成長しなければならない団体であると山下会長は強調する。福祉用具自体の社会的な位置づけは、そのポテンシャリティからいえばまだまだ低いのは否めない。それは福祉用具貸与事業者も開発者やメーカーもそれぞれが痛感していることだという。
急激に超高齢社会に突入したわが国では、高齢化率が40%を超える日もそう遠くはない。家庭内、地域、社会。“介護”については
様々な議論がなされているが、いずれにしても重要なファクターは“福祉用具”である。
「われわれがもっと社会的信用を得て、福祉用具の活用を進めていかない限り、これからの高齢化の波はのりきれない。そしてわれわれの福祉用具やノウハウは、海外に対しても通用する、一大産業になりうるものです。より一層の努力をして、よりよい高齢社会を作っていこうではありませんか」(同氏)。
本日は、一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会の設立にあたり、お祝いを申し上げます。国際福祉機器展の会場をまわってみて非常に多くの人出に驚きました。それだけ多くの人たちが福祉用具に感心をもち、必要としているのだと改めて実感いたしました。
国内においても、今後成長する産業分野として非常に注目しております。また、海外に対しても日本人が得意とする「きめ細かい気配り」をアピールできる分野ではないかとも感じています。
川又竹男氏
私は3年ほどヨーロッパにおりましたが、日本に帰ってきたら、なんて小さくて使いやすいカメラや携帯電話があるんだろうと改めて感心してしまいました。日本のきめ細かな技術や、使う側に対する配慮にはすばらしいものがあります。それは、福祉用具の分野でも特に重要視すべきことではないでしょうか。海外に対しても十分な競争力がある、ということです。
介護保険制度のなかでもサービスの大きな柱として、福祉用具のレンタルあるいは販売は注目すべき分野だと思いますし、制度が使える品目の追加など、検討すべき課題もたくさんあります。
■“利用者の安全”に大きな役割を担う福祉用具専門相談員近年、ニュースなどで、ベッドや車いすの事故の話題を耳にします。たとえ良い製品であっても、使い方を間違えてしまうと凶器にもなりかねない。利用者さんに近い具体的なところでは、相談員の皆さんの力が非常に大きいと思います。また介護保険制度の福祉用具の給付は、単に物理的な機器の提供だけではなくサービスとセットになって初めて意味をなす、力を発揮していくものなのです。
制度下での位置づけや報酬等の課題は多々あると思います。現在は、来年の通常国会に法案を提出すべく、平成24年度からの制度改正に向けて議論しているところであり、来年からは、介護報酬や福祉用具についての検討も始まります。皆様方にもぜひ、ご協力・ご意見をいただきたいと期待しております。